父の笑顔

　私が小学生の頃、「新正」と言う会が出来て、両親が朝早くから朝の集いと言う会に行くようになり、宗教の嫌いだった父は、これは宗教ではないと言い、毎朝母と二人で出かける様になりました。　　地域の方も数名でずいぶん長く続いていました。

その内、文化会館の様な所で大勢集まるようになり、東京から先生が見えるので、私も高校を出てすぐの頃その集会に行く事に成りました。

その時の議題が　素直な　心になり「はい」と言う言葉の大切さと言うお話でした。
もう５０年くらい前になりますが、あの頃は皆そんな勉強会の様なお話をよくしていたように思います。　　

初めてそんな会合に行き、「ハイ」と言う一事が大事と言うお話で
先生は一生懸命にお話をされて『素直になって「ハイ」と返事をする事が大事』
と何度も「ハイ」と言う言葉の大切さを強調されていました。

学校の時でもあまり手を挙げる事のなかった私ですが、なんだか素直になれず
「質問がありますか？」の時に、つい手を挙げてしまい「素直にハイから入る事が大切と言う事ですが、自分の個性も何もなくしてでもですか？」と質問をすると、先生はコーヒーの例えで

「コーヒーの中に、お砂糖を入れたり、ミルクをいれたりすれば、又、違う味わいがあるでしょう」と丁寧に説明して頂きました。

そのあと父は先生から私の事をすごい褒められたと、帰って母にニコニコ顔ではなしている時、私に気付いた父が嬉しそうに『先生が「私もそう思いましたよ！」と言った』と父が話すと、声を上げて母も一緒に笑いました。

あんな嬉しそうな父の笑顔は、あの時がいちばんです。

あんな質問して気になって居たのですが、先生のそのお言葉にホットしました。

その先生のお名前はつい何年か前までは覚えていたのですが、喉まで出かかって居るのに出てきません。　　思い出したら書いておきます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２０年８月２４日